造影剤と画像診断情報サイト Radiology & Interventional

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1. 実質系の造影―肝臓ダイナミックCT検査―

1989年にヘリカルCTが臨床に導入され、スキャンの高速化と画質の向上が可能になると、1990年代半ばには診断に必要な最低量の造影剤で最高の診断能を得る造影剤投与法を検討するという、造影剤投与法の最適化が研究されるようになりました。昨今では、造影剤による副作用や合併症に対する安全対策についての意識も高まっており、個別にカスタマイズされた最適でより安全なCT造影検査の実施が求められてきています。そのような環境の変化に伴い、簡便に被検者ごとにカスタマイズされたプロトコルを計算し、同時に、造影剤合併症のリスクを低減させようという機能を備えた造影剤自動注入器(CTインジェクタ)も開発されています。
実質系の造影について、造影効果は注入される造影剤ヨード量に比例し、造影強度に対して影響を与える因子は体重であると報告されています(※1)。体重は脂肪に代表される細胞外液スペースにおいて強い指標にはなりませんが、除脂肪体重より簡便に測定できることから、昨今では造影剤投与量を決定するための指標として体重を用いることが多くなっています。画像診断ガイドライン2013年版では、肝臓造影検査には体重あたりのヨード量を520mgI/kg~600mgI/kgと推奨し、また、造影剤の注入時間を一定にすることにより、肝臓のピーク時間、ピークエンハンスメントが一定に近づく傾向があることから、多相性造影での注入時間は30秒に固定するのを妥当としています(※1・2)。
このような推奨に基づいた検査をより簡便に実施できるよう、被験者の体重に合わせたプロトコルを自動的に算出する計算ソフトが内蔵されたCTインジェクタが開発されました。



被験者の体重入力をすると、プロトコルが自動計算される一例
使用造影剤ヨード量370mgI/mL、体重あたり600mgI/kg、30秒固定注入で設定している場合。

プロトコルを自動算出するインジェクタを、より正確かつ安全に使用する上で考慮すべきことを3つ紹介いたします。

(1)造影剤投与量と速度: 体重あたりのヨード量を520mgI/kg、注入時間を30秒と設定すると、300mgI/mLの造影剤では造影剤投与量や注入速度が高濃度の造影剤と比較して高くなります。体重によっては、100mL以上の容量がある造影剤を準備する、または、より高濃度の造影剤を準備する必要があります。
(2)注入速度: 造影剤注入速度は血管外漏出発生と直接的な因果関係がないことは報告されていますが、血管にかかる負担を考慮して最大注入速度のリミットを設定している施設もあります。
また、造影剤注入前に、造影剤注入速度と同等の速度で生理食塩液を注入するテストインジェクションをして、確実に血管が確保されていることを確認する工夫をされている施設もあります。



(3)ヨード量: 腎機能障害のある被検者における造影剤最大投与量の目安には、Cigarroaらによる 下記のような投与の上限式があり、この上限値を超えて造影剤を投与した場合には、腎障害の発現率が優位に高かったと報告されています(※3)。
ある一定の最大ヨード投与量を設定し、そのヨード量を超えないようにすることも腎障害発現リスクの低減につながるかもしれません。

※1) Optimal vascular and parenchymal contrast enhancement : The current state of art Dominik Fleischmann et al.:
          Radiol Clin N Am 47, 13-26, 2009
※2) 画像診断ガイドライン 2013年版 日本医学放射線学会、日本放射線科専門医会・医会
※3) ちょっと役立つ造影検査に関する話題 日本放射線科専門医会・医会/バイエル薬品株式会社


2. 医療被ばく、および医療放射線管理の海外動向について

米国放射線防護審議会(NCRP)Report No.160(※4)によると、米国民が1年間に受ける放射線量は、1人あたり6.2mSvと報告されており、そのうちの約半分の48%が医療検査装置から発生した放射線量で、CTが24%と最も高い割合になっています。CT以下は、核医学が12%、IVRが7%、一般X線・透視撮影が5%となっております。また、このレポートには、1993~2006年までの継時データもあり、CT検査数が高い増加を示していることも報告されています。
放射線検査による線量の増加を受けて、国際的な動きとして、IAEA(International Atomic Energy Agency : 国際原子力機関)から米国を含む先進国の主要団体に放射線被ばく管理(Patient Radiation Exposure Tracking : PRET(※5)の推進が促されております。PRETの主な概要は以下の通りです。
・放射線手順、管理の有効性(個人線量管理、正当化、最適化サポート、
 DRL(Diagnostic Reference Level : 診断参考レベル)の確立、臨床評価等)の確認
・優先モダリティ(CT装置、IVR装置及び核医学装置)
・HIS/RISやPACSなどのIT技術に関連する標準単位系での線量情報や医療情報の利用推進

米国では、2007年に発生したX線CT装置による過剰照射問題を契機に、米国食品医薬品局(FDA)の要請で、関連団体による検討会議が招集され、その対応策の一つとして患者の線量管理も挙げられました。その後、患者の線量管理を促進するために、DICOMでの線量レポート(DICOM RDSR)やIHE(Integrating Healthcare Enterprise) REM(Radiation Exposure Monitoring)プロファイルでの標準規格化が進んでおります。また、ACR(American College of Radiology)では、線量データの蓄積を目的に標準化された機器やシステムを利用して、2011年4月からACR DIR(Dose Index Registry)の稼働を行い、2013年2月時点では、600施設が参加し、300万件以上のデータが登録済であると報告されています。
一方日本では、DITTA(国際画像診断治療機器業界会議)での宣言書を受けて、JIRA(日本画像医療システム工業会)から各医療ITベンダーにIHE-REM統合プロファイルに準拠したインターフェースの早期導入が促進されております。(※6)、また、一部の検査での標準被ばく量が関連団体から提示されていますが、医療現場における広範囲な被ばく量の調査はまだ実施されていないのが現状で、今後、ACR DIRのような広範囲での線量データの蓄積が日本でも必要になってくると予想されます。

※4) NCRP Report No. 160, Ionizing Radiation Exposure of the Population of the United States
※5) Joint Position Statement on the IAEA Patient Radiation Exposure Tracking
※6) 「X 線CT の照射線量表示に関するDITTA 会議における宣言書」について



☆編集後記☆

L.JP.MKT.RI.05.2016.1086



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