造影剤と画像診断情報サイト Radiology & Interventional

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1.米国での医療現状について

米国は先進国の中でもGDP(国内総生産)に占める医療費の割合が17.9%(2011年)と世界一高く、その支出額は年間約2兆7000億ドルにのぼっています。一人当たりの年間医療費を見ても日本の約2.7倍となっています。(図1)※1

医療費増大の原因は、超高齢化に起因する日本とは異なり、最先端の医療技術への投資や付加価値の高い医療サービス提供に伴う高価格設定が医療費増大の一因になっていると考えられています。
また、日本の10倍以上の訴訟件数を抱える米国では、医師の多くが訴訟に対するリスク回避のため高額な医療過誤保険に入るとともに、リスク回避のための様々な治療前検査が実施されることも医療費高騰に影響を及ぼしていると考えられています。
アメリカの医療費例
ニューヨーク市マンハッタン区の医療費
(同区以外の2倍から3倍ともいわれている)
・急性虫垂炎で入院し手術後腹膜炎を併発したケース(8日入院)
   :7万ドル
・上腕骨骨折で入院手術(1日入院):1万5千ドル※2

CT撮影の費用
都市や病院によって異なりますが
CT撮影:580~1500ドル
造影剤を使用した心臓、腹部CT:6000ドル以上の可能性あり※3
一人当たりの年間医療費(2011年)

図1)一人当たりの年間医療費(2011年)


医療費が増大する中、医療費を抑制する動きが高まっており、医療機関側では、検査装置やITシステムへの投資対効果の明確化や、各検査に於いても、画像管理・読影・レポーティングといった範囲まで、その行為が「Meaningful Use:有意かどうか?」を検討されることが今後予想されています。

このような状況を受け、American College of Radiology:米国放射線科医学会(以下ACR)は、放射線科医の価値向上のため、大きく以下の3項目を医療改革における放射線科医の課題として掲げています。

1. Provide better care at low cost:低コストでより良いケアを提供する
2. Improve the health of the population:国民の健康維持促進に寄与する
3. Empower patients in their healthcare:患者に対してヘルスケア改善の直接的な力となる

ACRが提唱するこの取組は「Imaging 3.0」と題され、「Evolution in Patient Care : 患者ケアにおける進化の必要性」がテーマとなっています。

2. 米国放射線医学会(ACR)提唱のImaging 3.0とはなにか?

「Imaging 1.0」 1920年~1990年 
造影剤や新規検査装置の登場による新たな画像診断時代

「Imaging 2.0」 1990年~2012年
技術の爆発的進歩における検査装置及びPACSの進化、参照医へのコンサルテーションなど、放射線科医の需要が急速に増加した時代。
読影の報酬は読影量に応じたものであり、「Interpretation:読影業務」が中心の時代。

「Imaging3.0」 2013年~
放射線医は「beyond Interpretation:読影業務を超えた」範囲についても網羅する必要があり、ヘルスケアにおける自分達の関わり方を再定義すべきとしています。
読影業務のみにとらわれず次の4項目に注力することにより、放射線科医の価値を最大限高めるとともに、主治医との協調を通して画像診断を改善し、患者に対して力を与えることを目標としている。
1. Assure that what we do is appropriate:行為が適切であることを保証する
2. Document our quality and safety:品質と安全性を文書化する
3. Ensure actionable ways to report our results and evidence-based recommendations:
    読影結果と、その結果を元に根拠に基づいた次の処置を推奨することを実践する
4. We must empower our patients:患者に対して力を与えなければならない

よって「Imaging 2.0」から「Imaging 3.0」への変化は、量から質への変革であり、「Imaging 2.0」では生産性や利益の向上を実現できたが、「Imaging 3.0」では更に実績や存在意義を高めることを目的としています。

この「Imaging 3.0」を実現するための技術革新については、「Imaging Sharing:データ共有」、「Structured Report:構造化レポート」及び「Communication Tech:情報技術」などがあり、これらを用いて、主治医への迅速で的確なレポートを行うことによって、患者のより良いケアの向上に寄与することが期待されています。

このような「Imaging 3.0」を実現するための技術での「Imaging Sharing:データ共有」に関して、撮影装置の検査記録は装置本体、RISなどで管理されてきましたが、最近では造影検査での注入実施記録(図2)をPACS上でデータ共有できる機能が、インジェクタメーカーから発売されています。
この機能を用いることにより、読影を行いながら造影が適切に行われたかどうかの判断がPACS上で行え、検査の記録と管理を同時に行い、診断能の向上も期待できます。
造影検査での注入実施記録のデータフロー例

図2)造影検査での注入実施記録のデータフロー例


また、「Structured Report:構造化レポート」に関して、CT装置等での曝射した線量情報を自動的にRDSR「Radiation Dose Structured Report」(図3)に変換してPACSへ送信する機能をもった線量管理システムも日本で最近導入されています。
このようなシステム用いることにより、今後求められると予想される「Document our quality and safety:品質と安全性を文書化する」への対応も可能になると考えられます。
RDSR(Radiation Dose Structured Report)の例

図3)RDSR(Radiation Dose Structured Report)の例

http://www.acr.org/~/media/ACR/Documents/PDF/Advocacy/IT%20Reference%20Guide/IT%20Ref%20Guide%20Imaging3.pdf
ラドファン2014年7月号 米国放射線部門の今後の方向性とPACS

※1厚生労働省、医療保障制度に関する国際関係資料について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken11/index.html
※2外務省、在外公館医務官情報
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/n_ame/ny.html
※3CT-Scan-info.com
http://www.ct-scan-info.com/ct-scan-cost.html


☆編集後記☆
今号では米国の医療背景から、日本でも近年放射線科内で重要視されている情報管理、造影履歴保存、線量管理保存について紹介させていただきました。
医療技術の発展とともに、医療機器もただ検査を行う機器ではなく、付加価値として安全管理、情報管理を行える機能が発展してきております。
また被ばく管理、シミュレーションが行える線量管理システムの普及も始まってきています。
これらは学会などでの発表も盛んになり、新しい情報を皆様にお届けできるようにしてまいります。

☆お知らせ☆
次号の配信は、11月を予定しています。今後とも、ご愛読どうぞよろしくお願いいたします。

L.JP.RI.09.2014.0534


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