造影剤と画像診断情報サイト Radiology & Interventional

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1.小児被検者に対する造影剤注入

現在小児造影CT検査、特にインジェクタの使い方に関する具体的なガイドラインは見当たりません。
しかし幾つかの文献で下記のような方法が紹介されています。

【文献1】
造影CTの際には、造影剤の適切な注入が重要である。適切な部位の静脈に留置針で末梢ルートが確保できた場合は、自動注入器で造影剤を注入する。末梢ルートのサイズと推奨される造影剤注入速度の目安は、20Gで3.0〜4.0mL/sec、22Gで1.5〜2.5mL/sec、24Gで1.0〜1.5mL/secである。(筆者の施設では、24Gの場合はルート確保の部位にもよるが、0.8mL/secとしている)。
新生児や乳児では自動注入器ではなく用手注入の場合が多い。投与する造影剤の総量は、2.0mL/kgを目安としている。
近年、新生児ならびに乳児に対する心大血管系の造影CTの際に低電圧(80kVp)での撮影が推奨されている。管電圧を80kVpと低電圧にすることで、被曝低減、造影剤投与量の低減、造影能が長時間維持される、などの利点がある。1)
【文献2】
小児先天性心疾患に対する小児造影CT検査での造影剤注入は、新生児の場合は手動にて行い、年長児以上で、留置されている針が22G、20Gの場合は、自動注入器を用いることもある。造影剤の注入量は、2mL/kgを基本としている。
ただし、留置されている静脈ラインが細い場合は、十分な注入速度と注入量で投与できないことがあるため、生理食塩水で適宜希釈するなどの工夫をしている。2)

<日本医学放射線学会(以下JCR)のガイドラインでは…>
現在、本邦ではJCRの「画像診断ガイドライン」、小児用CT関連では「小児CTガイドライン-被ばく低減のために-」があります。
JCRのホームページには「画像診断ガイドライン2003」が一般公開されており、その中には小児に特化した内容が画像診断全領域に渡って記載されています。
URL:http://www.jcr.or.jp/guideline/mokuji.html

しかし、CT造影検査を行う症例報告は記載されていますが、インジェクタの使用や注入速度の制限などの具体的な示されていません。

<海外のガイドラインでは…>
米国放射線学会の「ACR Manual on Contrast Media Version 9, 2013」 には小児造影に関して記載されていますので、抜粋してご紹介します。

※詳細に関しては英語原文をご参照ください。


・小児では、少量の造影剤、細い静脈留置針の使用、
 成人とは異なる静脈アクセスサイトの使用という点が成人と異なる。
・少量の造影剤: 通常2mL/kg (用量が少ないので撮影タイミングが重要)
・Amaral et alの研究によると、24ゲージのカテーテルを使用すると、最大流速約1.5mL/sec、
 圧リミット150psiでの注入が可能
・血管が細い場合は、ハンドインジェクションを考慮する

【原文】
Other Unique Issues in Children
Several additional issues complicate the administration of IV contrast media to neonates and children, including the use of small volumes of contrast medium, the use of small gauge angiocatheters, and unusual vascular access sites. First, very small volumes of contrast media are typically administered to neonates and infants (typically 2 ml/kg). As a result, timing of image acquisition with regard to contrast medium administration may be important when performing certain imaging studies, such as computed tomography (CT) angiography. A slower injection rate (compared to that used in older children and adults) may be useful to prolong IV enhancement. Second, small gauge angiocatheters (for example, 24-gauge) located in tiny peripheral veins (for example, in the hand or foot) are commonly utilized in neonates and infants.
A study by Amaral et al [2] showed that 24-gauge angiocatheters in a peripheral location can be safely power injected using a maximum flow rate of approximately 1.5 ml/sec and a maximum pressure of 150 pounds per square inch (psi). When access is thought to be tenuous, hand injection of contrast medium should be strongly considered in order to minimize risk of vessel injury and extravasation. As many currently used central venous catheters are not approved for power injection, one should always verify that the catheter is approved for such injection and that the pressure used does not exceed its rating.

2. 小児被検者に対する低管電圧CT

低管電圧CTはヨード造影剤の造影効果が改善するため、造影剤の減量に有効なテクニックです。

【文献3】
中浦らはファントム実験の結果にて120kVpから80kVpに電圧を低下させた場合、造影剤のCT値は65%増加し、ノイズも17%増加するが、CNRは47%増加する。このことから低電圧撮影による コントラストノイズ比(contrast to noise ratio:CNR) 上昇は造影剤の減量に用いられることが多いが、造影剤を減量せずに低電圧撮影を行った場合は造影剤を増量したのと同様の効果が得られ、被ばく線量の低減ができると報告されています。3)
さらに低管電圧CTのノイズは対象が小さい場合は少なくなるため、小児ではさらに低管電圧CTが有用になると考えられています。

まとめ
これらのことから小児造影の場合、インジェクタを用いる際は基本的には成人と同様のルート確保が必要となってきます。成人と同様のルート確保が難しい場合、使用できる針のゲージ数が制限されると、注入速度に制限がかかってしまいます。今回紹介した文献、ガイドラインでは2mL/kgの注入、留置した血管が細い場合は手動注入を考慮するといったこととなります。
しかし低電圧CTを用いた場合には造影剤量を減量することが可能になることから、細いゲージ数の針で注入できる速度を使用しても十分な造影効果が期待できます。

1)野坂 俊介, 笠原 群生:造影CT検査が必要とされる症例、小児領域.日獨医報 第56巻第 1 号 137-148(2011)
2)宮坂実木子ほか:小児画像診断の最前線、心大血管領域-CT,MRIを中心に.日獨医報 第49巻 第 4 号
  639–650 (2004)3)ACR Manual on Contrast Media v9
  http://www.acr.org/~/media/ACR/Documents/PDF/QualitySafety/Resources/Contrast%20Manual/
  2013_Contrast_Media.pdf
3)中浦 猛:CTの被ばくおよびLow-DoesCTのための工夫.日本小児放射線学会雑誌 Vol28 No1 45-50(2012)


☆編集後記☆
【学会参加報告】
第42回日本放射線技術秋季大会が北海道の札幌で開催されました。
参加された皆様も、聴講や北海道ならではの食事を楽しみに参加されたのではないでしょうか。
風が冷たく寒く感じられましたが、台風接近前に大会は閉会し、天候には恵まれた学会でした。
各セッションのセッション名は、今注目されている技術の傾向がわかり、今年の造影に関するセッションは頭頸部造影・臨床技術・腹部造影・造影理論・造影手技などに分かれていました。
また昨年に比べ患者被ばく、線量管理の演目が増えていたことも今年の注目点といえそうです。
昨年発表されていた逐次近似画像再構成法などは、既にさまざまな臨床に応用されていることも演題から感じられました。
インジェクタや造影に関しては、新しい造影剤投与方法などの発表もありましたが、新しい手技を作成し実施しようとすると同時に手技の簡便さが求められます。
座長の先生が、全ての人が間違わない使いやすい方法を使用しなければ浸透していかないと話していた事が印象に残っています。
また、腎機能に応じて、低管電圧を用いた撮影を臨床で実施している発表が複数ありました。
腎機能を考慮し、造影剤量低減を考えると、まず低管電圧撮影が思い浮かびます。
低管電圧にすることで被ばくも少なくなり、よいことが多いと思われますが、やはり診断のために必要な画質担保と低被ばくが両立されてこその技術となると座長、演者の皆様がコメントしており、そのための様々な検討報告がありました。
秋季大会では毎年最新の技術が勉強でき、臨床の現場で直接検査を行っていない私たちにとっても大変参考になる学会です。
この場を借りて貴重な発表をしていただいた演者の皆様にお礼申し上げます。

☆お知らせ☆
本年は今号が最終号となり、次号の配信は、2015年1月を予定しています。
一年間ご愛読ありがとうございました。来年もご愛読どうぞよろしくお願いいたします。

L.JP.RI.10.2014.0563


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