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1.海外と日本の診断参考レベル(DRL)比較とICRP勧告について

2015年6月7日に公開された「最新の国内実態調査に基づく診断参考レベルの設定」について、前回のメルマガでご紹介しましたが、その後診断レベルの確認をされた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
日本では2015年に1回目の診断参考レベル(DRL)設定が行われ、その運用が始まりました。
では海外ではどのような動向になっているのか、今回はICRPの勧告と合わせてご紹介いたします。
ご存じのとおり、診断参考レベル(DRL)は国や地域ごとに設定することを基本としており、値が異なります。
すでに診断参考レベル(DRL)を設定している国・地域は数多くあり、その一部をご紹介します。(図1)
これらはICRPの勧告を基に作成されました。

図1.DRLを設定している国と地域の一例
図1.DRLを設定している国と地域の一例
ICRP(国際放射線防護委員会)は放射線の適切な防護を推進すべく、医療放射線関連のPublication(文書、勧告)を多数公表しています。

勧告はICRP103、ICRP60など数字で表され、2015年8月の時点でICRP Publication 129まで公表されており、ICRPのホームページ(英文)で閲覧することができます。
また、一部は日本語に訳されて確認もできるようになっています。
http://www.icrp.org/publications.asp

被ばく低減の原則となる「合理的に達成できるだけ低く」(ALARA:as low as reasonably Achievable)の提言や、ICRP60.ICRP103などの勧告文書、そして前回のメルマガでもご紹介した診断参考レベル(DRL)の作成についてもこのICRPの諸勧告を尊重して作成されています。

これらの勧告は日本の「放射線障害の防止に関する法令」でも尊重される勧告となっています。
ICRP103では「7.2. 医療被ばくにおける防護の最適化」の項目にて診断とIVRの医学的手法からの被ばくにおいては、診断参考レベル(DRL)は防護の最適化を目的とするが、個々の患者の線量拘束値によって履行されるのではない。
診断参考レベル(DRL)は、患者の線量を医療目的とバランスが取れるように管理するための手段である。1)とまとめています。

つまりある検査において、患者さんの被ばく線量がある一定の値(たとえばDRL)と比較して高いのか、低いのかを判断する値で、これをしきい値として用いることは不適切であくまでも管理するための手段の一つであるという考え方を示しています。
診断参考レベル(DRL)を作成する場合、標準体型で行われた検査の値を基準としております。

よって個別の検査による被ばく線量が、診断参考レベル(DRL)を超えたからと言って悪い、低い値にしなければならないのではなく、患者さんが被ばくするデメリットと診断を行うメリットを図る際、放射線防護体系の3原則(正当化・最適化・線量限度)を実施するための参考数値として活用することが望ましいと考えられます。

診断参考レベル(DRL)は国や地域ごとに検査方法、診断機器の種類・性能がことなるため、その国、地域ごとに異なる値が設定され、これらは長期的に変動していくため適切に再検討されるべき値となります。
他国の診断参考レベル(DRL)と比較する際に注意する点としては、「欧米の診断参考レベル(DRL)における標準体格は日本より大きいことを念頭に比較する必要がある」とされています。

図2.他国と日本のDRL比較 図2.他国と日本のDRL比較
今回発表された診断参考レベル(DRL)では50~60kg(冠動脈のみ50~70kg)を日本人の標準体格としています。
海外のデータの標準体格情報はありませんが、日本と米国の平均的な値をご紹介します。(図3)

図3.日本と米国の平均身長・体重 図3.日本と米国の平均身長・体重
日本は米国に比べ小柄でBMIにも大きな差が出ています。
これらのことから、特に腹部の32cmファントムを使用したDRL数値は単純に他のDRLと比較ができるものではないと考えられ、体型補正などを用いた他の指標を目安に使用することも必要かもしれません。
この指標として注目されるのがAAPM(米国医学物理学会)で2011年に新たに設けられた指標、Size Specific Dose Estimation(SSDE)です。
次回はSSDEについて、そして小児の診断参考レベル(DRL)についてご紹介します。
1)The 2007 Recommendations of the International Commission on Radiological
    Protection ICRP Publication 103 Ann. ICRP 37 (2-4), 2007

2.MT効果が画像に与える影響

MT(Magnetization Transfer)またはMTC(MT Contrast),MTS((MT Saturation)効果によりコントラストが低下することは広く知られています。意識してMT効果を付加した撮像をする場合は、得られるコントラストが想像できます。

それでは普通に撮像しているConventional SE法によるマルチスライスではどうでしょうか。クロストークによる影響もありますが、MTによるコントラスト低下も起こっています。
図1に示す画像はそれぞれマルチスライス数とスライスギャップの幅を変化させています。
ダイナミックレンジを同じにして表示すると、右下のシングルスライスで撮像した画像が最もコントラストが優れていると云えるのではないでしょうか。

図1
図1

どんなにコントラストが優れていても臨床で施行するには限界があります。
そのためマルチスライスによる撮像を行うわけですが、その際にコントラストを犠牲にしていることに留意したいところです。
検査時間と画質のバランスはMRI検査における大きなテーマと云えるでしょう。高速SE法においてはETL数の増加に伴い、更にMT効果の影響を受けることになります(今回、J値は考えないとします)。
むやみにELT数を増やさずにコントラスト維持する撮像パラメータが望まれます。

近年ではMT効果を利用したCEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)法が応用され、腫瘍の悪性度の判定に有用であるとの報告がなされています。
他にもMT効果を生かした撮像法があります。1.5T装置における頭部TOF-MRAで脳実質の信号を落とし、血流信号とのコントラスト差を大きくすることに応用されています。
同様に脳実質の信号を落とすことで転移性脳腫瘍の検索における造影後の画像で、より微細な腫瘍を描出する事が期待できます(図2)。

図2
図2

☆編集後記☆
今号では海外とのDRLの比較、ICRP勧告でのDRLの取扱いについてご紹介いたしました。
DRLは一度決まった数値として取り扱うのではなく、様々な要因により見直していく数値ということをご理解いただけたのではないでしょうか。
今後も機器の情報だけではなく、様々な周辺環境の情報を皆様にご提供してまいります。
ご愛読宜しくお願い致します。

L.JP.MKT.RI.08.2015.0801


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