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1.CTトピックス:
   テストインジェクション法、ボーラストラッキング法と最近の注入方法について

CT装置で造影検査を行う場合、臓器実質などを染める注入法と、血管を描出させる注入法の2種類に大別することができます。

今回ご紹介するテストインジェクション法(以下TI法)とボーラストラッキング法(以下BT法)は、血管を描出するCT angiography(CTA)などの際に、対象の血管に造影剤が到達するタイミングを計るために使用される手法です。
本スキャン前に造影剤を少量(10mL程度)注入し、CTで撮影対象血管のTime Density Curve(以下TDC)を計測し、造影剤到達時間、最大CT値を予想する手法です。

本スキャン撮影プロトコルにCT透視機能を併用し、対象血管に近しい血管にRegion of interest(関心領域:以下ROI)を設定し、本スキャン開始前にCT値をリアルタイムでモニタリングします。
ROIのCT値が一定以上に上昇したところで本スキャンを開始する手法です。

TI法、BT法ともに心臓CTAや血管系CTAで用いられ、CT撮影を開始するタイミングを最適化する手法として用いられています。
これらの手法は現在では使用方法が確立され、そのメリットとデメリットを把握し、撮影者が用いる方法を選択できるようになっています。

TI法
【メリット】
事前に対象血管への造影剤到達時間、ピーク時間、最大CTが予測できるため、本スキャンでの総ヨード量を調整できる。
撮影開始時間が確定できる、それに伴い息止め開始時間や撮影開始ディレイ時間も確定できる。
【デメリット】
撮影が2回に分かれる。
使用する造影剤量が本スキャンより少量の為、TDCのCT値ピークがずれてしまうため補正が必要となる。
より正確な本スキャン時のTDC予想を行う場合、伝達関数などを用いる計算が必要となる。

BT法
【メリット】
撮影が1度でよい。
TI法に比べ検査時間が短い。
【デメリット】
造影剤注入開始後すぐに透視撮影が始まるため、注入部位の観察が十分にできない、もしくは防護服を着て観察を行わなければならない。
被検者の心機能、心拍出量によってTDCのCT値ピーク到達時間が異なるため、最適なタイミングで撮影できない場合がある。
ROIが呼吸や体動で設定した血管からずれた場合、オートスタートができない為、マニュアルスタートが必要となる。

最近ではこれらのデメリット解消の為、TI法とBT法を組み合わせたテストボーラストラッキング法(以下TBT法)や希釈テストインジェクション法(以下希釈TI法)も用いられるようになっています。
TI法とBT法を同時に行う方法です。
静脈から投与された造影剤が撮影対象血管に到達する時間は注入毎に一定と考え、TIと本番注入を連続して行い、TIのCT値ピークを本スキャンスタートのディレイ開始トリガーとします。
被検者ごとに異なる造影剤到達時間をTI法で確認し、そのピークをディレイ開始トリガーとすることで、本番注入の造影剤到達時間がTI後一定となるため、循環動態の異なる被検者間でも安定した撮影ができると考えられています。

TBT法では、1度の造影剤注入と撮影で検査が完了し、CT値ピーク到達時間もある程度予想ができるため、TI法とBT法のメリット双方を生かすことができます。
問題点としては、撮影プロトコルが少々複雑であり、CTのディレイ時間設定検討、Bolus Trackingでのマニュアルスタートタイミングの見極めなどが考えられます。

注入器の注入プロトコルは図1の通りで、1及び2フェーズ目がテスト注入、3フェーズ目に休止時間を入れ、4及び5フェーズ目に本番注入プロトコルを設定します。

(図1:TBT法の冠動脈CTA注入プロトコル例)
図1:TBT法の冠動脈CTA注入プロトコル例

この条件はTI法に似ていますが、3フェーズ目が5秒間の停止になっており、これはテスト注入と本番注入が連続してしまうとTDCが分離できない為設けられています。
TI法で用いる造影剤を、造影剤と生食の混合注入に変え、本スキャン注入と同じ注入時間に設定しTIを行う方法です、被検者の循環動態による影響をより考慮したTI法となります。(図2、図3)
希釈TI法で得られたCT値ピーク到達時間は、本スキャンでも同一になるためピーク到達時間の決定が容易になります。
また希釈TI法で得られたピークCT値は、希釈倍率を掛けることで原液造影を注入した際のCT値を求めることができるため、本スキャンで用いる総ヨード量の増減調整ができ、被検者ごとのCT値のばらつきをある程度そろえることが可能となります。
問題点は生理食塩水の使用量が多くなるため、耐圧生食シリンジの容量が必要なこと、TBT法と比べ注入が2度に分かれることが考えられます。

(図2:希釈テストインジェクション注入プロトコル例)
図2:希釈テストインジェクション注入プロトコル例
(図3:本スキャンプロトコル)
図3:本スキャンプロトコル

TI法、BT法ともに現在のCTA撮影では多く用いられる手法となっています。
これらを発展させ、より良い撮影が行えるよう考慮られた新たな注入法が使用されるようになってきました。
それぞれの注入法はメリットとデメリットが存在します、ぜひご施設にあった注入法をご検討ください。

2.MRIトピックス:緩和率と緩和能

MRI検査では必要に応じて様々な値を測定することがあります、T1値,T2値やADC値などです(信号強度は相対値なので省きます)。

T1値,T2値は緩和時間(msec)として表記されます。この緩和時間に変化をもたらすのがMRI用造影剤です。静脈投与を行うMRI用造影剤の多くは金属イオン、中でもガドリニウムイオン(Gd3+)をキレート化して診断に用いられています。
また、MRI用造影剤では金属イオンの濃度により明度(intensity)が異なります。

X線ヨード造影剤 MRI(Gd)用造影剤

図の解説:ヨード造影剤は濃度に比例して造影効果が増強される。一方、MRI用造影剤には至適濃度がある。

しかし、同じ濃度の金属イオンでもその物質によって緩和時間に対する影響が異なります。

緩和時間に関する指標として「アール・1,2値」があります。
この「アール」には大文字と小文字があり、厳密には異なるものとして使い分けされます。

大文字のRとはrelaxation rateを指します。このRは緩和時間の逆数であり緩和率と訳されています。単位はmsec-1になります。
これは緩和の速度ですから"緩和速度"との表現でもよいと云われています。
イメージング側からみるとT1値と同じ意味なので、使いやすいのはこちらのRでしょうか。

一方、小文字のrとはrelaxivityを指します。このrは緩和時間を変化させる能力の大きさなので緩和能(緩和度との標記もある)となります。緩和時間は造影剤の濃度におよそ反比例するので、逆数をとれば濃度に比例します。

そのため、T1値よりは使いやすいです。同じ濃度の金属イオンでも、Mn2+よりGd3+の方が強い緩和時間の変化をもたらすので、Gd3+の方が緩和能が高い(大きい)という使い方をします。
単位は濃度を考慮したmM-1/sec-1になります。一般的にMRI用造影剤はT1緩和時間、T2緩和時間の両方を短縮する性質があります。T1及びT2を短縮する能力はそれぞれr1、r2で表されています。

1.5Tにおける脳の白質の平均的なT1値(800msec)及びT2値(80msec)であり、Gd-DTPAの濃度を0.1mmol/Lとした場合、T1値は606msec、T2値は77msecとなります。
このことからも、一般的な細胞外液MRI用造影剤はT2緩和よりもT1緩和に対する寄与が圧倒的に大きいことが判ります。

☆編集後記☆
2016年、初めてのメールマガジン配信となりました、いかがでしたでしょうか。
CTAの撮影ではTI法とBT法が一般的に普及しておりますが、今後はTBT法や希釈TI法も、より正確な撮影タイミングを計るための手法として用いられる方法として普及していくのでしょうか。

次号は3月の配信を予定しています、今後ともご愛読宜しくお願い致します。

L.JP.MKT.RI.12.2015.0922


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