MRIの基本1

MRIとは

 MRIは、Magnetic Resonance Imagingの頭文字からなる名称で、日本では磁気共鳴画像と称される。
 その名の通り、MRI装置は大きな電磁石であり、MRI装置から照射される電磁波と生体内の水素原子(以下プロトン)が持つ磁化ベクトルを利用して断層像を得ている。詳細な原理の解説は割愛するが、MRIでは撮像パラメーターの設定により数種類の画像を得ることができ、造影剤を投与し経時的変化を捉えるダイナミックスタディを加えれば画像から得られる情報は更に増す。X線を用いるコンピュータ断層撮影(Computed Tomography : 以下 CT)とはこの原理において大きな違いが存在し、画像のコントラストや検査時間などにも違いが存在する。

肝臓におけるMRIとCTの特徴対比

MRI CT
  • 電磁波を照射する(被曝しない)
  • 画像コントラストが高い(コントラスト分解能が高い)
  • 多種類の画像を得ることができる
  • 肝特異性造影剤が使用できる
  • X線を照射する(被曝する)
  • 空間分解能が高い
  • 検査時間が短い

肝臓のMRI検査に用いられる造影剤

 肝臓のMRI検査に用いられる造影剤には、静脈内に投与された後、細胞外液[血管内腔および外腔(細胞間質)]にのみ分布する細胞外液性造影剤と肝臓の組織にも分布する肝特異性造影剤が存在する。肝特異性造影剤には、クッパー細胞に分布する超常磁性酸化鉄製剤(Super Paramagnetic Iron Oxide : 以下 SPIO)と肝細胞に分布するGd-EOB-DTPAが存在する。前者は細胞間質に分布しないが、後者は細胞間質にも分布する。

肝臓のMRI検査に用いられる造影剤の特徴対比

分類 細胞外液性造影剤 肝特異性造影剤
Gd-EOB-DTPA SPIO
分布 細胞外液 細胞外液と肝細胞 血液とクッパー細胞
画像と
造影効果
主にT1強調画像で活用
造影剤の存在部位が高信号(白)
主にT1強調画像で活用
造影剤の存在部位が高信号(白)
主にT2強調画像で活用
造影剤の存在部位が低信号(黒)
血行動態の差異を可視化 血行動態の差異と肝細胞機能の差異を可視化 クッパー細胞の有無または機能の差異を可視化

Gd-EOB-DTPAと肝細胞癌

 典型的な肝細胞癌は周囲の肝組織よりも動脈血流が増加し、門脈血流が減少することが知られている。また、脱分化することで肝細胞としての機能が低下、欠損する。Gd-EOB-DTPAは細胞外液性造影剤と同じT1強調画像で造影効果を発揮し、ダイナミックスタディを行うと肝細胞癌の血行動態の特徴を画像化し、検出、鑑別に寄与する。投与後20分には肝細胞に分布した肝細胞造影相が得られ、Gd-EOB-DTPAを取り込めない肝細胞癌を低信号に描出し、ダイナミックスタディでは検出できなかったり、鑑別できなかった肝細胞癌の診断に寄与する。

Gd-EOB-DTPAと肝細胞癌